災害リスクを抱える自治体が防災行政に映像情報を活用
地図連携を強化したSmart-telecaster GPS+を導入し
被災地の高精度な状況把握と詳細な情報収集を実現

鹿児島県危機管理局危機管理防災課
  • マスコミに依存しない県独自の映像伝達手段を獲得し災害対策強化に活用
  • 可搬性と運用容易性に優れた映像中継システムに更新し機動的な運用を実現
  • ライブ映像を共有し現場と県庁で応急復旧対策の検討と指示を迅速に実施
導入製品
 Smart-telecaster GPS+
目次

  1. 1.地理的災害リスクを有する鹿児島県危機管理局設置で危機管理体制確立
  2. 2.端末の位置情報を表示するSTC GPS+で高精度な状況把握と情報収集を実現
  3. 3.現場ライブ映像とテレビ会議映像で迅速な情報共有と復旧対策を支援

地理的災害リスクを有する鹿児島県危機管理局設置で危機管理体制確立

九州南部に位置し、薩摩・大隅の両半島で形作られる本土側と、種子島、屋久島、奄美群島など28の有人離島で構成される鹿児島県は、9,189k㎡の総面積と2,643kmにおよぶ長い海岸線を持ち、東西約270km、南北約600kmにおよぶ広大な県域を有する。

それゆえ、地理的リスクに鹿児島県は常に向き合ってきた。夏から秋にかけては奄美群島やトカラ列島、大隅諸島に台風や熱帯性低気圧が接近・上陸し、風雨や高波の被害をもたらすことも多い一方で、南北に11もの活火山が分布しており、県下のほとんどの地域が火山性土壌の脆いシラス層によって厚く覆われている。低地や平野が少なく市町村は周囲が山に囲まれた各地に分散されて立地しているのもリスク要因だ。また、東シナ海に注ぐ川内川の河口には九州電力の川内原子力発電所も立地する。

鹿児島県では、風水害、地震・津波災害、火山災害、原子力災害、さらには武力・大規模テロなど、県民の生命・財産に重大な被害を及ぼす災害・事件・事故に一元的に対応するため、2005年4月に危機管理局を設置して全庁的な危機管理体制を確立した。

危機管理局の危機管理防災課では、平時より災害対策や危機管理の総合調整、防災会議の開催、県防災行政無線網の整備・管理などのほか、災害発生時における各種災害の情報収集など、危機管理に関する総合的業務を担っている。

端末の位置情報を表示するSTC GPS+で高精度な状況把握と情報収集を実現

そうした中、迅速かつ的確な防災情報の収集・伝達体制を維持し、災害に強い通信手段の確立を図るため、2012年度から2013年度にかけて実施したのが防災行政無線再整備事業だった。鹿児島県の防災行政無線のうち老朽化が進む地上無線設備、および衛星無線設備を更新することで、特に映像情報活用の強化を目指した。

その中核となる映像中継システムに、ソリトンシステムズの「Smart-telecaster GPS+」(以下、STC GPS+)が採用された。鹿児島県危機管理局危機管理防災課 技術主幹 飯迫 悦朗氏は、映像中継の必要性について次のように語る。

「従来は報道機関のニュース映像などによって被災現場の状況を把握していましたが、マスメディアが注目する風景と県が必要とする映像情報は異なることが多いため、被災地の状況を県の職員が臨機応変に撮影し、県庁にリアルタイムに中継できる独自の映像伝達手段が必要でした」

2010年10月に発生した奄美豪雨災害では、 島内の交換局や携帯電話基地局が水没して通信手段が遮断した上に、市町村の庁舎も被害を受けて市町村の防災行政無線が故障。市町村の出先機関と連絡が断絶し、被害状況を把握できない状態が数日間続いたという。

それを契機に、孤立地域に対して衛星携帯電話の普及を推進し、連絡手段の確保を整備してきた。また、映像の送受信や電話・FAXの機能などを統合した「可搬型衛星地球局」を県内4箇所に導入していたが、衛星通信回線用アンテナの角度調整に時間がかかる上に、システム全体がワンボックスカー1台分の大きさもあり、現場で機動的に運用することが困難だったという。

「その反省から、可搬性が優れ、特別なスキルがなくても誰でも簡単に使えることなどを念頭に、災害の種類を問わず汎用的に利活用できるシステムを探していたのです」

当初はスマートフォンベースの動画伝送システムを採用する方向だったという飯迫氏は、被災現場に容易に近づくことができないことも想定し、望遠機能が優れたビデオカメラの活用が望ましいと判断。Smart-telecasterシリーズが全ての条件を満たすことから、本格的に検討を開始したという。

特に、地図情報との連携機能を強化したSTC GPS+を選択した理由について、「県の職員が災害現場の地理を知らなくても、GPSによって端末の位置情報を表示して現在地と目的地を確認できますし、ライブ映像と双方向の音声通話、移動経路情報を複合的に活用することで、より高精度な状況把握と詳細な情報収集が可能になります」と飯迫氏は説明する。

現場ライブ映像とテレビ会議映像で迅速な情報共有と復旧対策を支援

STC GPS+が採用されたシステムは「モバイル映像蓄積システム」と名付けられた。モバイル映像送信機側は、ビデオカメラとタブレット端末がセットになった専用機のSTC PCモデルと、Android スマートフォンで利用できるSTC Androidモデルの両方のSTC送信機がセットで用意され、通信事業者の回線を利用したインターネット通信により中継を行う。また、携帯電話回線が使用不能になることも想定し、映像を撮影した後に県防災行政無線網を使って保存映像を県庁に送信できるようにしたほか、衛星携帯電話のインターネットサービスの利用も可能にした。

モバイル映像受信機側は県庁内に設置され、被災現場からのライブ映像を現地の災害対策本部と県庁の災害対策本部に中継しながら、同時に両対策本部がテレビ会議を開催し、リアルタイムな情報共有と迅速な応急復旧対策の検討と指示を支援する。その他の関係機関も、同様にライブ映像やテレビ会議映像を受信することができ、参加はできないながらもリアルタイムな情報共有と情報収集によって、支援方法の検討を可能にしている。

「配信された各映像は、自動的にコンテンツとしてSTC配信サーバーに保存され、地域振興局などでもWeb経由で閲覧することができるようになっています。さらに、アクセス権のレベルを変えることで、アーカイブした映像をインデキシングし、県の防災機関、県の出先機関用、その他の関係防災機関などごとに映像閲覧権限を切り分け、セキュリティを高めました」 (飯迫氏)

危機管理防災課では既存の可搬型衛星地球局を廃止し、2014年3月から県庁のほか、災害対策の地域拠点となるテレビ会議システムと画像配信システムを設置している13拠点に配備した。

災害対策本部での利用以外にも、船舶事故発生時における関係機関との情報共有や、平時に県庁で開催される会議のライブ映像配信、 支庁と事務所間でのテレビ会議、知事の定例記者会見のライブ映像配信などでSTC GPS+ の運用を想定しており、活用する人数や機会を増やすことで映像情報共有の幅を広げていく計画だという。

「蓄積した映像は現在、県庁の閉じられたネットワーク内でしか活用できないので、今後はスマートデバイスやモバイルPCなどで外から閲覧ができるようになれば、有事の際に職員が帰宅後も災害状況を把握できるので、災害対応力がさらに高まると期待できます」という飯迫氏。 そのセキュリティ面でのハードルを、今後乗り越えていきたいと考えている。

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