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アーカイブとバックアップの違いとは?

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データの大容量化が進む中、企業のデータ管理において意識しておきたいのがアーカイブとバックアップの違いです。両者は似ている部分もあるものの、その目的や保存方法には明らかな違いがあります。アーカイブとバックアップ、それぞれの特徴と違いについて解説していきます。

アーカイブとは

アーカイブとは永久・長期保管が必要なデータや、アクセス頻度の低下したコールドデータと呼ばれるデータを安全に保存するための方式です。もともとアーカイブという言葉には、保管所、保存記録、公文書、記録文書、書庫などの意味があります。

アーカイブの目的は、現在は利用頻度が低いけれど、重要で失いたくないデータを保存することにあります。例えばコンプライアンスやコーポレートガバナンスにかかわる重要データの原本、あるいは稼働中のシステム内でアクセス数が減少したもののビッグデータとしての価値があると見なされた情報資産などが対象となります。

アーカイブしたデータは稼働中のシステムやファイルサーバーなどのストレージから切り離し、光ディスクや磁気テープ、クラウドストレージなどの適切なメディアに保存します。上書きはせず、新しいデータが発生した場合は新たなアーカイブデータとして蓄積していくのが一般的です。

バックアップとは

バックアップとは現在稼働中のシステムで使用しているデータや、アクセス頻度の高いホットデータ、状況に応じてアクセス頻度が上がるウォームデータなどを正常な状態でコピーして保存するための方式です。バックアップという言葉には本来、応援、予備、代替、後援などの意味があります。

バックアップの目的は、データが何らかの障害によって破損・消失する前に保存しておくことにあります。万一、データやシステムに障害が発生したときには速やかにリストア作業を行い、データを復旧・復元します。例えば稼働中のシステム内で日常的に使用されているデータ、ファイルサーバーで共有されているファイルなどが対象となります。

バックアップの基本的考え方は、同一データを複数の別の記憶媒体にコピーし、多重化して保存しておくというものです。最初にすべてのデータをコピーすれば、以降は差分・増分データを定期的に、繰り返し上書きしていきます。

アーカイブとバックアップの違い

アーカイブとバックアップの違いを整理しておきましょう。相違点を項目別に挙げてみます。

目的

アーカイブの目的は利用頻度が低く、かつ必要なデータの長期保管です。

バックアップの目的は日常的に利用しているデータを破損・消失した場合に備えて保存することです。

対象データ

アーカイブの対象となるのは基幹システムデータ、コンプライアンスデータ、研究・開発データ、アクセスログ、過去の映像データ、ビッグデータなどです。

バックアップの対象となるのは受発注データ、顧客データ、経理・財務データ、人事データ、商品データなどです。

ただし、バックアップ対象データの中でもアクセス頻度が低下したものはアーカイブ対象となります。

保存方法

アーカイブデータは上書き保存しません。常に新しいデータを蓄積していきます。同時、改ざん防止のためのセキュリティ対策を施すことも必須です。

バックアップデータは専用のソフトウェアなどを用いて、任意で何代か前までのデータを残すことはありますが、基本的には古いデータを最新のデータで上書きする形で運用します。

利用機会

アーカイブデータは必要に応じて利用しますが、もともと利用頻度の少ないデータなので機会は多くありません。

バックアップデータは障害発生時にのみ利用します。ただし、業務をスムーズに再開するためには迅速かつ確実なリストアが可能であることが求められます。

アーカイブとバックアップを区別すべき理由

企業が取り扱うデータは大容量化が進んでおり、保管すべきデータも増え続けています。ここまで、アーカイブとバックアップの違いについて説明してきましたが、両者をしっかりと区別しておくことには、企業が増え続けるデータを取り扱っていく上で大きな意味があります。

まず、ファイルサーバーなどで管理・共有しているデータの中から永久・長期保管が必要なデータやコールドデータを切り分けてアーカイブすることで、ストレージの容量を有効活用できます。容量不足の解消に役立ち、アクセス性も向上するでしょう。

また、アーカイブデータを切り分けることでバックアップするデータの量が減り、作業時間も削減できます。つまり、アーカイブを行うことはバックアップをサポートすることにもつながります。

さらに、アーカイブは法律上、保管が義務付けられているような重要なデータの保存にも適しています。重要データは通信回線とは明確に切り離し、改ざんや漏えいを防ぐセキュリティ対策を施す必要があるため、バックアップとは別に保存しておくことが有効です。

データを保存・保管するときは、アーカイブとバックアップを分けて考えることをおすすめします。両者の違いを理解して、データの切り分けを実践してみてはいかがでしょうか。

記事を書いた人

ソリトンシステムズ・マーケティングチーム