導入事例

沼田市

自治体DX推進の一環としてメール関連業務の改善を推進
ファイル共有の効率化とセキュリティ強化の両立を実現

沼田市
  • クラウド型ストレージサービスの導入により、大容量ファイルを手軽に外部共有
  • 法人向けストレージ利用でセキュリティを強化。有事に備えたログの無期限保存にも対応
  • セキュリティクラウドに適合し、庁内展開・導入もスムーズ。自動削除機能など効率的な管理も実現

沼田市 様 イメージ図

DXを推進する中でメール業務の業務負荷とセキュリティ強化に着目

 自治体DXを積極的に推進する沼田市。総務部企画政策 課 DX推進室 室長の鳥羽 雄一郎氏は、その概要を次のように説明する。

「人口減少時代を迎え、労働力の減少や地域活力の低下、社会保障費の増加など地域社会の課題に一体的に取り組むため、第1期及び第2期『沼田市まち・ひと・しごと創生総合戦略(沼田市版総合戦略)』を策定し、人口減少克服と地方創生に取り組んできました。さらに、国の『デジタル田園都市国家構想総合戦略』、群馬県の『群馬県デジタル田園都市国家構想総合戦略』を踏まえ、令和7(2025)年1月に、デジタルの力を活用した施策を盛り込んだ『沼田市デジタル田園都市国家構想総合戦略』を策定しました」

 同市は、RPAの活用をさらに進めたPythonの利用による自動化など、さまざまな業務効率化を推進。その中で、メール関連の業務生産性向上とセキュリティ強化に着目した。総務部企画政策課 DX推進室 主任の原 沙和氏は、従来の業務課題を次のように明かす。

「課題は、大きく2点ありました。1点目は、メール添付では送ることができない大容量データについて。これまでは、例えば建設・建築部門では大容量の図面データを外部に送る際、CDやUSBなどの記録媒体でやり取りしていましたが、非常に業務効率が悪く、職員から『何かいい方法はないですか?』といった問い合わせが多く寄せられていました。2点目は、個人情報の取り扱いです。役所には医療関係の健診結果など、個人情報を含むさまざまなデータが存在します。それらをメール添付でやり取りするのはリスクが伴いますし、記録媒体でのやり取りでは紛失の恐れもあります。これら2点の課題について、業務効率とセキュリティ強化の観点で改善の必要性を感じていました」

 同市は解決策を模索し、複数のサービスをトライアル、比較検討を重ねた。サービスの選定における要件について、総務部企画政策課DX推進室 主査 石澤 賢一郎氏は、次のように語る。

「選定にあたり最も重視したのは、クラウド型サービスであることでした。オンプレミス型のシステムはサーバー管理の負担や場所を含めたコストがかかることに加えて、故障時に業務が停止するリスク、法定点検時の再起動などの手間もかかりますが、クラウド型であればこうした問題を回避できます。加えて、セキュリティ面でも安心なサービスを選びたかったのですが、 他社のファイル転送サービスは外部からのファイル受け取りが使いにくいことに加え、セキュリティ面にも不安がありました。他社のクラウド型のファイルストレージサービスも検討しましたが、利用コストが非常に高額で現実的ではありませんでした。そこで候補に挙がったのが、HiQZenサービスでした」

安全性と誰でも使いやすい操作性、県のセキュリティクラウド上の動作確認もクリア

 HiQZenは、自治体業務にも最適なクラウド型オンラインストレージサービスだ。PPAP対策として安全なファイル送受信を実現し、ログデータの無期限保存により監査対応も容易。直感的な操作性で職員の負担を軽減し、大容量データの送受信もスムーズに行えるほか、LGWAN環境での利用も可能であるなど自治体のセキュリティ要件に適合。低コストかつ運用負担を軽減しながら、情報管理の効率化と業務の安全性向上を両立できる点が特長だ。

 石澤氏は、トライアル時のHiQZenサービスの印象を、次のように話す。

 「HiQZenサービスはセキュリティ性も高く、費用面も安価に抑えられます。実際に使ってみると、操作も簡単で、直感的なGUIも魅力的でした。最近はチャットによるコミュニケーションも増えていますが、まだまだ市役所業務はメールが主体。その意味で、日常的に全職員がメールの延長として利用するサービスとして、誰にでも分かりやすく、使いやすいサービスである点が魅力でした」

 同市は、さらに検討を進めるべく2024年5月よりPoCを実施。導入にあたって必須となる、「群馬自治体情報セキュリティクラウド」を通して問題なく動作するかの検証を行った。

 「PoCではいくつか技術的な課題が見つかりましたが、すぐに解決することができました。この間、ソリトン社には色々と技術的な質問を投げかけましたが、常にレスポンスよく回答頂き、サポートもとても充実していました。この点がクリアできたことで、導入に向けた手続きに進むことができました」

 予算申請に際しては、想定される利用アカウント数、及びその職員達が日常どのくらいの頻度で外部とファイルをやり取りしているかの事前情報を基に算出。その後、入札などを経て正式導入となった。

スムーズに全庁での利用が進みメール業務における職員の負担を軽減

 2024年7月、全庁でHiQZenサービスの利用が開始された。石澤氏と原氏は、庁内展開のプロセスを次のように説明する。

「利用開始にあたって開催した全庁向けの説明会では、操作方法ではなくセキュリティ強化を目的としてこのツールを導入したことを職員に説明しました。従来のメール添付よりセキュリティが強化されるとはいえ、インターネット上のクラウドにデータを保管しますので、その辺りのリテラシーについての啓蒙を意識しました。また、この仕組みを提供することで、これまで一部でシャドーIT的に利用されていたGoogleドライブなどの各種無料サービスは、利用禁止とすることも伝えました」(石澤氏)

「利用は申請制としましたが、説明会直後に多くの課から『使いたい』と申請があり、ニーズの高さを感じました。現在は外部とのファイルのやり取りがあるほぼすべての課で利用されています。操作マニュアルはソリトン社から提供されたものを公開しています」(原氏)

 原氏はHiQZenサービス導入後の成果について、次のように明かす。

「全庁での利用開始後、職員から操作方法についての問い合わせがまったくないことに驚きました。使われているのか不安になり、操作ログを確認しましたが、かなりの頻度で利用されており安心しました。操作マニュアルを確認しなくても、画面構成や操作、機能が直感的に分かりやすい。管理側としても役所は担当者の異動もあるので、誰でも扱えて、かつマニュアルもしっかりと整備されている本サービスは理想的です」

 石澤氏は、HiQZenサービスの評価ポイントとして、ログデータの無期限保存と、クラウドに保存したデータの自動削除を挙げる。

「他のサービスはログの保存期間が1年とか、長くても7年ぐらいなのですが、HiQZenサービスは期間の縛りがないこともメリットです。自治体では万一の際にかなり長い期間、過去に遡って証跡を調査、提出を求められるケースも想定されるため、ログが長期間残るのは安心感が高いです。また、やり取りしたファイルのクラウドでの保存期間は設定で変えられるのですが、当市では1か月で自動削除される設定で利用しています。管理も楽でセキュリティリスクも抑えられますし、容量の無駄遣いも抑制できます」

今後も業務効率化を継続し、さらなるDX推進に挑む

 自治体を取り巻く環境と、ITインフラ及びセキュリティに求められる要件は、刻々と変化している。鳥羽氏は今後の方向性について、次のように語る。

「当市は三層分離のα(アルファ)モデルを採用していますが、クラウドサービス利用が増加する中でさまざまな課題を感じています。そのため今後は、LGWANに接続する端末からも一定の条件でクラウドサービスを利用可能にするα(’ アルファダッシュ)モデルへの移行を検討しています。コロナ禍以降、テレワークのニーズも引き続き高いですし、LGWAN端末の無線化も検討したいです。国のセキュリティガイドラインも刻々と更新されますので、今後もソリトン社にもご協力いただきながらDX推進及びセキュリティの強化を進めていきたいと考えています」

 最後に石澤氏は、ソリトンの印象および期待を、次のように結んだ。

「ソリトン社は自治体の実情に即した製品が豊富な印象があります。民間向けや海外製ではどうしても自治体業務には合わないサービスが多い中、我々の業務ニーズに合致したサービスを提供してくれる国産メーカーの存在は貴重です。今後もセキュリティや認証はさらに重要度を増していくでしょう。ソリトン社には引き続き、自治体にとって使いやすく、現場の困りごとに目を向けた、きめ細かなサービスの提供に期待しています」

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2025年5月作成時の情報に基づいています。

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