導入事例

大村市教育委員会

保護者の声から始まった、教育現場に寄り添う
学びと自律を育むWebフィルタリング

大村市教育委員会
  • DNS Guardの導入で学校と家庭で一貫した制御が可能となり、運用も安心
  • DNSフィルタ型により、通信速度の低下もなく9,900台の端末を効率的に一括管理
  • 柔軟なカテゴリ制限で、児童・生徒自身のモラルを意識した利用を促進

大村市教育委員会 様 イメージ図

通信速度改善の裏で浮かび上がった、安全面の課題

 長崎県の中央部に位置し、地方の中規模都市としては異例の人口増加を続ける大村市。市の市立小・中学校計21校を管轄する同市教育委員会は、かねてより教育現場のICT化に積極的に取り組んでいました。しかし、この取り組みを進める中で、市のICT環境は大きな課題に直面していました。

 当時、全校のネットワークは市役所本庁に集約されていましたが、回線が1本しかなく、通信速度に問題があったのです。この課題を解決するため、同市では児童数が多い学校から順次、直接インターネットへアクセスできる「ローカルブレイクアウト」を導入しました。

 これにより通信環境は改善された一方で、新たな懸念が生まれました。

 当時、教育総務課の主査であった山田 雄大氏は、その状況をこう語ります。

「ローカルブレイクアウトの導入で、ファイアウォールを通さずにインターネットへ接続する点に、セキュリティ上の不安を感じていました。当初はGoogleのWebフィルタリング機能で運用を始めましたが、その後、児童・生徒が持ち帰った端末の利用について、保護者の方から問い合わせが寄せられるようになったのです」

  この家庭からの声について、学校教育課 指導主事の入口 瞬氏は次のように補足します。

 「『学習に関係のないサイトを利用している』『夜遅くまで端末を使っている』といった点を心配する声でした。大きなトラブルがあったわけではありませんが、これがICT環境の整備を改めて検討するきっかけとなりました」

 ローカルブレイクアウトによるセキュリティ上の懸念と、端末の家庭利用における保護者からの懸念。この二つの課題が、Webフィルタリング導入を決断させる強い動機となったのです。

葛藤と決断、理想のWebフィルタリングを求めて

 この二つの課題に応えるため、教育委員会はWebフィルタリングソフト導入の検討を開始します。しかし、山田氏を悩ませたのは、従来の「URLフィルタ型(プロキシ型)」でした。

 URLをひとつひとつ指定する方式では「どうしても“いたちごっこ”になりがち」という課題があったからです。また、全ての通信がプロキシを中継するため「速度などのパフォーマンスに影響が出るおそれがある」という懸念があったほか、検討していた製品は短縮URLに対応できないという問題も抱えていました。

 そんな中、ソリトンから紹介されたのが「Soliton DNS Guard for Education」 (以下、DNS Guard)でした。ドメイン単位で制御を行うため、短縮URLの参照先も正確に判別してブロックでき、通信を中継しない方式のため速度の低下やボトルネックが発生する心配もありません。こうした技術的な要件をすべて満たした点から、山田氏は「これなら私たちが抱える複数の課題を解決できる」と確信を抱きました。

 大村市教育委員会は、ソリトンからテストアカウントの貸与を受け、約1か月間にわたりネットワークの保守業者とも連携しながら性能や操作方法を検証しました。この試用期間を通じて、その利便性の高さと信頼性を確認した結果、最初の商談からわずか半年という異例のスピードで導入を決定しました。

管理者に優しく、生徒には安定した学びの環境を実現

 導入から約2年が経過した現在、約9,900ライセンスが稼働していますが、大きなトラブルもなく安定して運用されています。学校でも自宅でも快適な通信環境を維持し、適切なWebフィルタリングを実現することで、保護者の安心にもつながりました。

 さらに、 DNS Guard の運用負荷が低かったことも大きなメリットでした。管理コンソールについて、山田氏は次のように評価します。

「管理コンソールは直感的に操作できるため、運用がとてもしやすいです」

 また、継続利用のしやすさについて、入口氏はこのように強調します。

「年次更新で煩雑な作業が発生しがちなデジタル教科書などとは違い、DNS Guardは負荷がありません。担当者間の引き継ぎもスムーズに行えるので、本当に助かっています」

柔軟なWebフィルタリングが生むモラル教育

 この導入の最も重要な点は、単なるサイトブロックに留まらない、大村市独自の「モラル教育」という教育方針にあります。入口氏は、安易にカテゴリ制限を厳しくすることの危険性を指摘します。

「私たちが目指すのは、単に危険なサイトを禁止するだけでなく、児童・生徒自身にアクセスの良し悪しを考えさせ、自主性を育む『モラル教育』です。例えば『ゲーム』カテゴリを禁止すると、学習用のタイピングゲームまで閲覧できなくなります。DNS Guardは、こうした学習の妨げになりうる制限を極力避け、我々のスタンスに合わせた柔軟な運用がシンプルにできる。この使い勝手の良さが非常に魅力的でした」

安心を支えるパートナーとしてのソリトン

 DNS Guardの導入で、児童・生徒、保護者、そして教職員にとっても安心・安全なWeb環境を実現した大村市教育委員会。最後に山田氏は、今後の展望を次のように語りました。

「セキュリティの重要性は増すばかりです。状況を正確に把握し、漏れのない対策を講じる上で、ソリトンにはこれからも頼れるパートナーとして、様々なアドバイスやソリューションを提供していただけることを期待しています」

 保護者の声から始まったWebフィルタリングの導入は、単なるセキュリティ強化に留まらず、子どもたちの安心と自律を育む新たな教育の形を大村市にもたらしました。

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2025年10月作成時の情報に基づいています。

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