世界最大の鉄道輸送サービスの品質向上に貢献する「Smart-telecaster」
リアルタイムな映像中継を実現し、現場の作業負担の軽減と
輸送障害の早期復旧を強力に支援

東日本旅客鉄道株式会社
  • シンプルなシステムにより初めてでも安定したライブ中継を実現
  • 映像での状況把握によりリアルタイムで的確な指示を可能に
  • 電話による報告業務から担当者を解放し復旧作業の効率化を促進
導入製品
 Smart-telecaster
目次

  1. 1.鉄道サービスの品質向上を目的にサービス品質改革部を設置
  2. 2.現場の今をリアルタイムに伝える客観的で正確な手段はないか
  3. 3.厳しい条件を満たしたSmart-telecaster まさに思い描いていた通りのシステム
  4. 4.映像による可視化の効果で携帯電話の利用は激減

鉄道サービスの品質向上を目的にサービス品質改革部を設置

東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は、1987年の国鉄分割民営化から25年目となる2011年度を「サービス品質改革元年」と位置づけ、5ヵ年計画「サービス品質改革中期ビジョン」に基づき、輸送障害の発生防止や早期の運転再開、情報提供の充実など、安全で安定した輸送サービス品質向上のための環境整備にグループ全社員が取り組んでいる。

これまで同社は、鉄道事業全般のサービス改善について接遇の向上を基本的指針として取り組んできたが、災害や事故などによる輸送の遅延改善に関する活動は、車両や設備などを管轄する部署がケースごとに縦割りで実施してきた。

そのため、2010年7月に「サービス品質改革部」を設置し、中長期でのサービスインフラ整備や輸送の安定性向上を含む鉄道サービスの品質向上のための施策を計画的かつ強力に推進する全社横断型組織を立ち上げた。

また、列車を時刻通りに運用するという基本的サービスの維持を目的とした「輸送品質向上グループ」が部内に設置され、事故や災害などによる輸送障害の発生防止や発生した場合の早期運転再開、乗客への情報提供などを主なミッションとした。

現場の今をリアルタイムに伝える客観的で正確な手段はないか

列車の停止や長時間の遅延が発生した際に、現地の対応をコントロールするのが、JR東日本の総合指令室に置かれた対策本部であり、列車の運行・停止やダイヤの変更・復帰、 乗客の安全確保などの判断を状況に合わせて迅速に行うことが求められている。

しかし、従来は現場からの報告は電話での会話が主体で行われていたため、担当者が専門外の場合、表現が抽象的になり、正確な状況把握が困難になる上に復旧計画が立てづらいといった問題を抱えていた。また、携帯電話のメール機能を利用して静止画像を送信していたが、情報が断片的で連続性がなく、刻々と変化する状況に対応できないなどの不満があった。

「有事の際、現場は今どうなっているのかといったリアルタイムな情報収集や、被害がどの範囲で、補修部品は何が必要かなどを正確に伝える客観的な手段が必要でした」と語るのは、JR東日本 鉄道事業本部 サービス品質改革部 輸送品質向上グループの藤田 晃一郎氏だ。
その解決策として、藤田氏は映像を中継できるシステムの活用を考えていた。それも監視カメラのような固定式ではなく、無線を使った機動性の高い可搬式でなければならない。しかし、他の部門で試験的に活用されていた中継システムは、システムの重量も重いため運用に耐えられるものではなかったという。

「現場で復旧作業を行う担当者の負担にならないことを最優先にしたい」。そう考えた藤田氏は、初心者でも安全かつ迅速に操作できることや、JR東日本がMVNO(仮想移動体サー ビス事業)としてサービスを提供しているWiMAX 網が利用できること、さらには長時間運用やセッティングが容易であることなどを条件にシステムの検討を開始した。

厳しい条件を満たしたSmart-telecaster まさに思い描いていた通りのシステム

「藤田様から、そうした厳しい条件をクリアするソリューションはないかと相談を持ちかけられた時、真っ先に思いついたのがソリトンシステムズの「Smart-telecaster」でした」と話すのは、パナソニック システムソリューションズ ジャパン 営業部門 ソリューション3グループ 交通3チームの田子 誠氏だ。

Smart-telecasterは、ビデオカメラで撮影した映像を小型のタブレット端末でリアルタイムに圧縮し、携帯電話やWi-Fiなどのワイヤレス回線で伝送する軽量・コンパクトな映像中継システム。送信側の「STC-Cam」と受信側の「STC-Multi」で構成され、大掛かりな映像機材やアンテナなどを使わず手軽にライブ中継を可能にし、独自に開発した伝送制御技術によって不安定な携帯電話回線でも安定した映像品質を保つ。最大12回線までの映像を同時にモニタリングできるのが特徴だ。タブレット端末には防塵・防滴のパナソニック製「TOUGHBOOK」が使われ、野外での長時間の使用やシステムのコンパクト化を実現している。

「Smart-telecasterはまさに思い描いていた通りの理想のシステムでした」という藤田氏は、ソリトンシステムズやパナソニック システムソリューションズ ジャパンらと検証を進め、2011年2月に導入を決定。STC-Camが利用可能な現場を優先して15地区に17台を配備し、総合指令室のSTC-Multiに映像を配信する体制を整えた。

映像による可視化の効果で携帯電話の利用は激減

Smart-telecasterは導入直後から早くもさまざまな現場で活用された。従来は、数分ごとに電話をかけて状況確認を行っていたが、 現場の状況が映像で送られるようになったことで電話の利用は激減。現場の担当者も報告の負担から解放され、復旧作業に専念できるようになった。

「初めての担当者も問題なく活用しています。 現場の状況が一目瞭然なので、対策本部と現場が認識を共有し、リアルタイムでの処置を的確に実施できるようになりました」と強調する藤田氏。映像も鮮明で経営層の評価も高いという。

Smart-telecasterの有効性が確認できたことで、JR東日本では今後さらに配備台数を増やすことを検討している。また、現場全体だけではなく、作業者の手元や細かい作業を映像化できるよう、Smart-telecaster Android 版によるスマートデバイスやタブレットの利用も検討していくという。パナソニック システムソリューションズ ジャパン SEセンター システムインテグレーション2グループ パブリックソリューション2チームの西山 尚志氏は、「現場全体の把握と長時間の対応に向くビデオカメラと、局所把握や初動対応に素早いスマートデバイスを併用すれば、より迅速で柔軟に運用できるのではないでしょうか」とアドバイスする。

田子氏も「映像の力とその果たすべき役割は非常に大きく、必要な場所に必要な情報を映像で提供できるようになれば、サービス品質をより高めることになるでしょう」と述べる。 そして、藤田氏は、「鉄道事業では常に安全を最優先にしながらも、残念ながら輸送障害は発生してしまいます。突然の事態が起こっても現地の状況を速やかに把握し、お客様への影響を最小限にとどめるためのシステムとしてSmart-telecasterを活用できるのは大きな安心につながっています」と高く評価する。

藤田氏らサービス品質改革部では、今後も組織の壁を乗り越えてさまざまなソリューションを提案し、輸送サービスの大幅な品質改革に尽力していくという。

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