導入事例
奈良県庁
VDIの課題を「セキュアコンテナ方式」で解消
操作性と運用性を両立させたβ´モデルを低コストで実現
紀伊半島の中心に位置し、1300年の歴史を誇る古都。国宝や重要文化財などに代表される豊かな歴史文化資源が数多く分布する。「法隆寺地域の仏教建造物」、東大寺や興福寺などを含む「古都奈良の文化財」、「紀伊山地の霊場と参詣道」の3つの世界遺産を有する。
※本ページの内容は、2026年3月作成時の情報に基づいています。
課題
- β´モデル移行にあたり、セキュリティの担保とコスト抑制が必要
- セキュリティパッチ適用や夜間・休日対応など、保守運用の負担が膨大
- 操作性が大きく変わると、職員の業務効率が低下するリスク
導入効果
- セキュアコンテナ方式で、高い安全性と低コストを両立したβ´モデルを構築
- 夜間・休日の保守対応がほぼゼロとなり、少人数での運用が可能に
- 直感的に使える操作性により、β´モデルでもスムーズな業務遂行を実現
奈良県庁様 イメージ図

先進的な住民サービスを支えるべき庁内基盤の限界

奈良県庁は、住民がスマートフォンで行政手続きを完結できる「奈良スーパーアプリ」の提供など、「奈良デジタル戦略」のもとDX推進に注力してきた。その先進的な住民サービスを支えるため、庁内業務基盤の見直しを進める中で、総務省が定める自治体情報セキュリティ区分について、従来のα´モデルからインターネット系を最大限に活用するβ´モデルへ移行することを決定した。担当した奈良県 総務部 デジタル管理室 共通基盤運用係 主査の安浪皓星氏は、「クラウドサービスの業務利用やWeb会議の活用が広がる中で、従来のα´モデルの構成では業務の変化に対応しきれなくなっていました」と当時を振り返る。
コストと運用性がVDI拡張の壁に
β´モデルの実現手段として、α´モデルで導入していたVDIを増強することを検討したが、「対象の職員が快適に利用できる規模までライセンスを拡張するには、5年間で数億円規模の追加投資が必要となる試算が出ており、コストがネックでした」と安浪氏は話す。

また、VDIのパフォーマンス不足という課題も抱えていた。奈良県 総務部 デジタル管理室 ネットワーク係 係長 猪俣賢一氏は、「VDI端末の起動・ログインに時間を要し、業務停滞を引き起こしていました。なかでも防災課や観光課では、情報収集・発信や県民からの問い合わせ対応が遅れるなど、安全安心と県民サービスの低下が懸念されていました」と明かす。
さらに運用管理についても、「セキュリティパッチの適用などの保守作業を夜間・休日に実施せざるを得ないなど、保守メンテナンスに大きな手間がかかっていました」(猪俣氏)といった課題を抱えていた。こうした背景から、従来構成の延長ではなく、新たな方式を検討する方針へと舵を切った。
「セキュアコンテナ」という、新たな方式を導入へ
それらの課題を解決するために奈良県庁が注目したのは、セキュアコンテナ方式である。奈良県庁は、入札を経てソリトンシステムズ(以下、ソリトン)の「Soliton SecureWorkspace」(以下、SSW)を選定した。入札要件に同製品を指定した理由を、安浪氏は次のように述べる。
「ファイルサーバーやOfficeアプリケーションなど、Webブラウザー以外も使う必要があり、そのための仕組みを比較検討しました。セキュアコンテナ方式のSSWなら、LGWAN系の業務は今までと同じ操作性を保ちつつ、機密性の高い情報をLGWANに保管したまま、インターネット系端末でセキュアに行えます。その上、パフォーマンス向上とライセンス費の抑制も達成できます」(安浪氏)
また、もともとα´モデル時代からLGWAN環境からのインターネット閲覧用途でSoliton SecureBrowser(以下、SSB※)を利用していたことも、ソリトンのSSWを選定するポイントとなった。
「β´モデルでもSSBの継続利用が前提であり、既存のSSB用ゲートウェイをSSWでも利用できるので、効率的に導入できると考えました」(安浪氏)と話す。
※本構成では、SSWのパッケージに含まれるSSBを利用。
事前の丁寧な検証で移行リスクを最小化
SSWの導入にあたっては、庁内の業務システムについて事前に検証を行った。まず業務の棚卸を行い、SSW経由で利用するLGWAN系Webシステムを洗い出して動作確認した。
「業務を深掘りして整理した結果、対象のLGWAN系システムは約100種類ありました。事前の検証で、そのうち9割以上がSSWとSSBで使用可能ということを確認できました」(安浪氏)
SSWでは利用できないと判明した一部のシステムについては、VDIを残し、SSW for RDPで接続して利用する運用で対応した。
「一部の使用できないシステムが事前にわかっていた分、対策ができましたので、安心して本格導入に踏み切れました。」(安浪氏)
その後、2026年1月にβ´モデルに完全移行を果たした。
導入プロジェクトにおいて猪俣氏はソリトンのSEの全面的なサポートを高く評価する。「当県のシステムやネットワークを的確に把握し、私たちが出した要望をすぐさま詳細設計まで落とし込んで進めてくれたおかげで、約3か月という短期間で構築できました。いつも現場に足を運び、不明点などは難しい専門用語は使わず、親切丁寧に噛み砕いて説明してくれたのも大きな助けとなりました」と話す。
「使いやすさ」が職員の生産性、そして住民サービスの質向上へ貢献
カットオーバー後も安定稼働を続けており、職員の日常業務を支えている。課題の1つであった操作性について、安浪氏は「SSWはマニュアルを参照せずとも直感的に使えるのがよいですね。従来と同じ操作性ということもあり、職員からの問い合わせはほぼありません」と効果を評価する。起動や処理の高速化によりパフォーマンスが大幅に向上し、生産性の向上も実感していると語る。
さらに業務パフォーマンスの改善は住民サービス向上とともに、安全・安心の確保にも大きく貢献する。「防災において情報収集や警報の発令などは、わずか数分の遅れも許されません。SSWにより迅速かつ継続的な業務遂行が可能となり、県民の皆様の安全・安心を守る上で不可欠な基盤となっています」と猪俣氏は強調する。
また保守運用面については、「SSWは夜間・休日の保守対応がほとんど必要ありませんし、少ない人数のSEで対応可能です。そのため、委託先に支払うコストはVDIと比べて半減しました」(猪俣氏)と成果を挙げている。
加えて、副次的効果として、セキュリティ強化も実現した。「インターネット系端末からのインターネット閲覧にSSBを用いることで、ウイルスや詐欺サイトの対策が可能になります。また、民間企業とのオンライン会議も、よりセキュアに行えます。ソリトンのSEはそういった使い方のアイディアを随時提案してくれるのも助かりますね」と猪俣氏は満足気に話す。
最後に安浪氏は「今後はSSWを活かし、インターネット系端末へ庁内業務を集約していく体制の整備を視野に入れています。他にも、Microsoft 365の当庁以外のテナントへの接続、庁内の他のシステムへのセキュアな利用にもSSWの利用を展開中です」と、今後の展望に期待を示した。
お忙しい中、有り難うございました。