導入事例

浜松市消防局

24時間体制で災害に対応する日々。
高画質リアルタイム映像の活用で、市民・隊員の命を守る

浜松市消防局
  • 被災現場の状況把握・共有や技術継承に効果的として、映像配信システムを選択
  • 機動性が高く操作が簡単な“Zaoウェアラブル”で、現場からの高品質な映像伝送を実現
  • 受信側はオンプレミスサーバーを設置することで、さらにセキュアに情報共有

浜松市消防局 様 構成図

災害現場の映像を共有~経験を共有しスキル アップ。隊員の命も守る~

 浜松市消防局管内における火災発生数は、年々減少傾向にある。明確な原因は不明だが、火災防止装置を備えた家電や耐火性能の高い建築資材・内装品が普及していることが一因と考えられる(火災の減少自体は良いニュース)。

 しかしながら、このような状況で、いざ炎上火災や特殊災害が発生すれば、隊員には現場対応能力が求められる。現場や訓練の経験則が隊員の行動に直結することから、かねてより、浜松市消防局では、現場対応や訓練の様子の撮影映像を、検討会や振り返りに活用してきたものの、映像の活用は基本的に自署所のみで留まっていた。そこで、効率的に情報共有できるシステムとして、ソリトンシステムズのZaoウェアラブル32台とZao Server(ラックマウント)3台を導入。
これにより、現場からのリアルタイム映像や後日の検討会・振り返りで録画映像を全署所へ配信できるようになった。

Zaoウェアラブルを訓練で使用する様子~使用感等インタビュー~

 2025年2月初旬。ソリトンシステムズのメンバーが取材に伺い、浜松市消防局の訓練を見学させていただいた。訓練時の写真とあわせて、インタビュー記事をお届けする。(以下、ソリトンシステムズをソリトンと表記)

ソリトン:導入いただいたZaoウェアラブル32台、サーバーが3台。実際に使ってみて、いかがですか?

加藤様:Zaoウェアラブルを胸のところに装着して電源を入れるだけで、サーバーに映像がアップロード・保存されるので便利です。小型で操作性がすごく良いです。訓練では、呼吸器や(救助)資機材をたくさん装着して活動しますから、ケーブルをひっかけてしまう可能性を考えるとケーブルレスであることも利点です。
 画質もとても良いですね。それから、管理側にとっては、“誰がライブ配信を見ることができる”というのを簡単に管理できるうえ、操作性も良く誰でもすぐに覚えられるし、一つの端末で制御できるのはすごく良い点です。

谷野様:導入前までは無線でしか情報を得ることができず、「どうなっているんだ?」という状況になりがちでした。
 Zaoウェアラブルを使い映像を見て「もっと部隊を増やしたほうが良い」「資機材を増やしたほうが良い」という判断ができるようになりました。また、火災活動等に従事した消防隊は、後に反省会・検討会など振り返りを行いますが、その際にも録画映像を使っています。

ソリトン:記録映像ですね。

谷野様:それから、今は火災が減少傾向にあるので、経験の浅い若手隊員にとっては、映像が研修材料にもなっています。

ソリトン:中継に関しては、カメラを持っている人が映像を送ってくるのでしょうか? それとも、管理側から送るように指示しているのですか?

加藤様:取り扱いの要綱を定め、「火災救助は、必ずZaoウェアラブルの電源を入れる」こととしています。

ソリトン:導入前の課題、Zaoウェアラブルを導入することになったきっかけは?

加藤様:技術伝承や振り返り用に効果的な方法を検討していました。当初は、リアルタイムというよりも、記録を見て反省会で活動を振り返るためのツールというコンセプトで導入しました。火災現場が減少傾向の中で、見て覚えて「この活動は危険だよ」等、みんなでスキルアップして、自分たちの命も守ろう、安全管理もしっかりしていこうという流れです。

ソリトン:システム導入によって解決できたこと、他にはありますか?

加藤様:現場の状況を、音声だけではなくリアルタイム映像で共有できる点。 導入前は、無線で現場の情報を聞いていましたが、今は聞かなくても映像で確認することができるようになりました。

ソリトン:閉域回線にこだわられた理由は?

加藤様:市のセキュリティポリシーから、「閉域回線で」という話でした。

ソリトン:これからの展望、利用用途の広がりがあれば教えてください。

谷野様:このシステムが導入されたのが、能登半島地震の発生から3カ月後でした。もし、もっと早く導入出来ていれば応援に行く際に有効に使えたかなという思いがあります。例えば被災地で使う防寒着など、“こういった資機材が必要”という情報を映像で確認できれば、本部側の理解も早くなると思います。

ソリトン:能登地震の際には、消防、自治体、自衛隊、警察、各省庁等も含めた協力体制のもと、救助・復旧が行われましたね。伺っている話としては、消防(注)・自治体・国交省・警察等の皆さんがソリトン製品(Zao-XやZaoウェアラブル)を持って、応援に駆け付けたとのことです。衛星回線を使用することで回線が安定した例もあったようです。(注)総務省消防庁配備のシステムも使用。
 大規模災害時には、当社としても無償貸し出しなど、能動的に対応すべきと考え、3月末まで、無償で送受セット貸し出しを行っていました。今後、そういった大規模災害時に追加で無償貸し出しのご要望があれば、設定等対応させていただきます。

加藤様:それは本当に助かりますね。我々も、Zaoウェアラブル32台は普段、現場で使ってしまっているので、そういう時に「無償で使って良いよ」というのがあれば助かりますね。

ソリトン:その他、導入してみて、ここは差別化できる機能だという点はありますか?

加藤様:配信が制御できる点に加え、映像を共有する際に、記憶媒体に移す必要が無い点です。紛失や情報漏洩のリスクが無いため安心できます。

ソリトン:隊員の位置情報はどの程度、参考にしていますか?

加藤様:市街地だとあまり気にならないです。

谷野様:ただ、能登半島地震の時は、地名を言われても全然わからなかったですね。

加藤様:あとは、林野火災の際に役立ちそうです。通常の火災の時は、隊員は車のそばにいると思われますが、林野火災の防御など、車から離れてしまうと隊員の位置がわからなくなる。そういう時は、Zaoウェアラブルを隊員が持っていれば、場所をGPSでとってくれるので、ものすごくありがたいですよね。

ソリトン:目指したシステムとして、検討会や振り返りで「どこの署所でも映像が活用できるもの」だったとのことですが、実際、いかがですか。

加藤様:検討会の際に、蓄積映像許可を押して、各署所で見てもらっています。

ソリトン:市役所からも見ることができますか?

加藤様:はい、市役所からも見ることができます。大規模災害時、すぐに確認できるよう、端末を置いて準備してあります。

谷野様:他の用途。例えば夜間の火災においては、視界が悪く、残火処理をしっかり行うものの、後に煙が出てきてしまうなどの不安が残ります。後から当番制で隊員が見回りに行くのですが、カメラを(定点で)設置し監視するとか、それに熱が検知できればより良いですね。

ソリトン:センターでしばらく監視しておけば便利そうということですか。他にも、「映像伝送でこんな商品があれば」というご要望があれば、ぜひおっしゃってください。

本日はありがとうございました。

訓練の様子

取材後記

 緊張感のなか、隊員の方々が重装備で訓練にあたっている姿を拝見し、こうやって我々の暮らしが守られているのだと実感した。
 そして、災害対応の現場でソリトンシステムズの製品が活用されていることに、身の引き締まる思いを感じた。一分一秒の判断が重要となってくる災害対応において、映像配信の力は大きな助けとなる。引き続きより良い製品・サービスの開発へまい進していきたい。

※本ページの内容は、2025年4月作成時の情報に基づいています。

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