導入事例

社会医療法人 長門莫記念会 長門記念病院

電子カルテシステムと端末刷新を機に、
Soliton SecureBrowserでセキュアなインターネット利用を実現

社会医療法人 長門莫記念会 長門記念病院
  • 電子カルテシステムと同一端末での安全なインターネット利用を実現
  • 仮想ブラウザ方式を採用し、物理分離方式に比べコストを大幅に削減
  • 医療従事者の利便性を損なうことなく、セキュリティレベルを向上

社会医療法人 長門莫記念会 長門記念病院 様 イメージ図

電子カルテシステムと端末の刷新に伴い、安全なインターネット接続環境整備が喫緊の課題に

「困っている人を助ける」を合言葉に、117 年と長きにわたって大分県南部で地域住民を想った医療活動を展開する長門莫記念会。中でも長門記念病院は、呼吸器、神経内科、消化器、整形外科など幅広い診療科を有するほか、介護やリハビリテーションなどの関連施設との連携による、充実した医療サービスを提供している。本プロジェクトの発端となった電子カルテシステムの刷新について、長門記念病院 システム開発室 室長の奈須浩一氏は、次のように語る。

「2024 年1月に、電子カルテシステムの刷新を決定しました。当院では約20 年前に私が独自開発したオーダーシステムを発展させたオリジナルの電子カルテシステムを、他院に先駆け2004年から活用してきました。今回リプレイスをすることにしたのは、将来にわたって安心して活用できるよう運用の属人性を解消したかったことと、拡張性の向上や業務標準化などを考慮した判断です」

 同院では電子カルテシステムの刷新と併せて、関連の介護施設などの分も含めた計400 台の端末の入れ替えを決定。ここで問題となったのが、医師や職員がレセプト関連などさまざまな医療情報を検索するためのインターネット接続環境の整備だった。

「利用者にヒアリングすると、インターネット接続用端末は少なくとも100 台は必要だと判明しました。しかし、これを電子カルテ用端末とは別に調達、展開するとなると非常に手間とコストがかかり、設置スペースも問題となってきます。そのため、医療従事者の利便性の面からも、同一端末でのセキュアなインターネット環境を実現したいと考え、ソリューションの検討に取り掛かりました」( 奈須氏)

仮想ブラウザでセキュアかつ利便性の高いインターネット環境を構築

 奈須氏がセキュアなインターネット閲覧ができるソリューションをWeb で探す中、見つけた1つがソリトンシステムズの提供する「SolitonSecureBrowser(以下、SecureBrowser)」だった。

 SecureBrowser は、端末内の隔離領域で動作するインターネット分離専用ブラウザである。アプライアンスの「Soliton SecureGateway」と組み合わせることで、大掛かりなシステムを導入せずともインターネットの脅威からシンプルに分離環境を実現することが可能。操作性も高く、セキュリティとコスト、利便性のバランスを追求したインターネット分離ソリューションだ。

 奈須氏は、製品選定のプロセスを次のように明かす。

「コスト比較のために物理分離のシミュレーションをしたところ、インターネット端末の調達はもちろんクラウド型アプリの閉域専用線の回線コスト、院内LAN の設計・工事費など必要になることが分かりました。構築の手間や運用、そして利便性の面からも、端末1 台で利用できる仮想ブラウザの方が魅力的でした。その上で他社製品と比較したところ、ランニングコストの点でSecureBrowser が優位でした。他社製品は同時接続数とアカウント数の掛け合わせでコストの算定が難しいのに対して、ソリトンはライセンス数のみの計算でシンプルかつ、リーズナブル。余裕をみて150人の利用で比較した場合でも、コスト的にかなり優位でした」

 そこで同院はSecureBrowser のトライアルを実施する。

「ソリトンは問い合わせからのレスポンスも迅速でし た。トライアルの申し込み後、すぐにデモ機の貸し出しを受けて、回線速度のテストを行いました。一番知りたかったのが、仮想ブラウザを利用することでインターネットの速度が遅くなったり、接続が不安定になったりしないか、といったブラウザのレスポンスタイムです。負荷テストを複数の端末で行うなどの検証を行いましたが、まったく問題ありませんでした」( 奈須氏)

 こうした検討と検証の結果、同院は正式にSecureBrowser の採用を決定。併せて、同じくソリトン製品である、ネットワーク分離環境での安全なファイル受け渡しを実現する「FileZen S」の採用も決定した。奈須氏は、決め手となったそのほかの要因を次のように話す。

「業務上、添付ファイルのやり取りも頻繁に行われることからFileZen S も同時に導入することとしました。前述のコストや性能の点に加えて、新たに導入する電子カルテシステムとの相性も問題ないこと、他社と比べ医療業界や著名な病院での導入事例も豊富で安心感が高かったことなどが、決め手となりました」

 奈須氏は経営層への上申に際し、機能およびコスト比較表を作成し、理解を得たと語る。

「予算をかけて実施するものなので経営層に対する説明は重要ですが、この手のソリューションはIT に明るくないと、なかなか理解するのが難しいです。そのため今回は、物理分離と仮想ブラウザ2製品の機能と初期コスト、ランニングコストの比較一覧を作成して説明し、承認いただきました」

利用者への丁寧な説明により、院内への展開もスムーズ

 構築は2024年6 月にスタート。新電子カルテシステムのリリースが同年11 月予定であったため、新端末の展開と共に10 月には設定を完了させる必要があった。導入および展開について、奈須氏は次のように振り返る。

「コストを抑えるため、新端末約400台のキッティング作業を自前で行ったため大変でしたがSecureBrowser およびFileZen Sの初期設定に関しては、特に問題もなく、スムーズに進みました。利用者への周知に関しては、メールでの案内に加えて『今回、新たにこういう仕組みを導入するので、触りたい人は会議室まで来てください』と呼びかけ、実際に触ってもらう機会を設けました。利用者からは『Web 会議はできますか?』という質問がもっとも多く寄せられました。『普通にインターネットに接続してできることはそのままできますよ』と説明すると、安心してもらえました」

安全なインターネット利用と利便性の両立を実現

 予定通り2024年10月、新電子カルテシステムのリリースに先立ち、長門記念病院を始めとする関連施設でSecureBrowser と FileZen S の利用がスタートした。利用開始後の成果について、奈須氏は次のように話す。

「利用開始から約半年が経過しましたがSecureBrowser については当初の狙い通り、電子カルテシステムと同一端末でのセキュアなインターネット閲覧が可能となり、満足しています。利用者からは特段、使い方に関する質問や繋がらないといった不満の声もなく、安定して利用できています。FileZen S については、利用方法をまとめたPDFマニュアルを作成。その効果か、こちらも使い方についての問い合わせもほぼなく、便利に利用されています」

 2製品の管理画面について、奈須氏は次のように評価する。

「管理コンソールもやりたいことが直感的にできて、特に問題ありません。ソリトン製品は設定などのマニュアル類も充実しており、将来に渡って安心して利用できるようになりました。」

医療現場のさらなるセキュリティ強化に向け、バランスのとれたソリューション提供に期待

 電子カルテシステムおよび端末の刷新を機にSecureBrowser とFileZen S を導入することで、セキュアで利便性の高いインターネット利用と運用の効率化も実現した長門記念病院。今後について、奈須氏は医療情報システムの二要素認証の検討を挙げると共に、ソリトンへの期待を次のように結んだ。

「厚生労働省の『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』で、医療情報システムへの二要素認証が求められており、自院でも対応を検討しています。ランサムウェアなどのサイバー攻撃被害も多発し、医療機関におけるセキュリティへの要求は高まり続けています。対応するソリューションはさまざまありますが、地方病院でそのすべてを実行するのは、コスト的にもリソース的にも現実的ではありません。ソリトンには引き続き、セキュリティと利便性、そしてコストも両立した、医療の現場で活用しやすい情報およびソリューションの提供を期待しています」

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2025年5月作成時の情報に基づいています。

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