導入事例
川崎信用金庫
金融機関に求められる高い安全性を維持し
2 0 年続いた「静脈認証」から「顔認証」へ刷新
1923年7月18日に設立された川崎信用金庫は、「相互扶助」の精神に基づいて会員向けに融資を行う非営利の協同組織金融機関です。川崎市、横浜市、大田区、品川区などに57店舗を展開。預積金残高は2兆4,223億円、貸出金残高は1兆4,926億円、自己資本額は1,799億円(2025年度実績)で、地域の中小企業、および地域に住み、働く人々の夢の実現を応援する「この街のベストサポーター」を目指しています。
課題
- 静脈認証デバイスが大きく、ノートPCを携行する新しい働き方の定着を阻害
- 認証デバイスの故障や交換に伴う運用負荷と 高額な保守コスト
- システムごとの認証やパスワード管理によるユーザーの大きな負担
導入効果
- 内蔵カメラによる顔認証への刷新で、PC携行とペーパーレス化を実現
- 認証デバイス廃止による運用負荷・保守コストを軽減
- シングルサインオン(SSO)と顔認証によるスムーズなログインで、日常業務のストレスを軽減
福岡ひびき信用金庫 様 イメージ図
「安全だから変えられない」からの脱却。20年続いた認証基盤の課題
金融機関にとって情報セキュリティは、お客様の資産と信頼を守るための最重要課題です。不正アクセスや情報漏えいを防ぐため、認証基盤には厳格な管理が求められます。
一方で、DX推進や業務効率化も避けては通れません。
同金庫では2006年から約20年にわたり、ICカードと手のひら静脈認証による多要素認証で高い安全性を維持してきました。
しかし、その「安全性を支える仕組み」が、新たな働き方への転換を阻んでいたのです。

事務部 担当副部長の山田 健太氏は、当時をこう振り返ります。
「当時はPCに大型の静脈読み取り装置、ICカードリーダーを外付けしており、ノートPCと一緒に持ち歩くのは困難でした。そのため、会議室等へ持ち出して活用する文化そのものが育たなかったのです」
その後、装置の小型化、静脈認証一体型マウスへの変更等の経緯を辿ってきたものの、複数の認証デバイスをPCに接続しないと利用できない状況は変わらず、管理負担と保守コストが重い課題となっていました。
そこで、2023年にOAシステム更改の検討が本格化したことを機に、認証基盤全体の見直しが始まりました。
顔認証への転換。金融機関が求められる安全性と利便性の最適解
認証基盤の刷新では、認証方式だけでなく、多要素認証やシングルサインオン(SSO)を含む運用全体を見据え、複数の製品を比較しました。
「SmartOn ID」を採用した理由について、山田氏はこう説明します。
「顔認証をメインにしつつ、ICカードも併用できる多要素認証と、機能・コストのバランスが決め手でした。一部でICカードの継続利用が必要な運用形態があるため、柔軟な設計が不可欠だったのです。また、金融機関での豊富な導入実績も評価しました」
さらにパスワード代行入力機能(SmartOnPass)を活用し、既存サブシステムを大きく改修せずにログインを効率化。利便性と堅牢性を両立する認証基盤を構築しました。

約1,500台に及ぶPCの切り替えでは、業務を止めないことも重視しました。事務部 調査役の岡庭 智彦氏はこう振り返ります。
「パートナーやソリトンシステムズとの強固な連携により、全PCの更改を通常業務に支障をきたすことなく完遂できました」
「紙からPCへ」認証の刷新が生んだ身軽なワークスタイル
SmartOn ID導入後、最も大きな変化は「PCを持ち歩く文化」が生まれたことでした。
PC内蔵カメラにより、ノートPCだけで会議に参加できるようになり、本部を中心に大型モニターを使うペーパーレス会議が定着しています。

事務部の小川 将弘氏は、導入後の変化についてこう話します。
「以前は大量の資料を印刷して会議に持参していましたが、現在ではPC1台で参加するのが当たり前になりました」
同氏は顔認証によるスムーズなロック解除も高く評価しています。
「初回ログオン時は多要素認証を行い、離席からの復帰は顔認証のみで行えるよう設計しました。PCの前に座ってキーを叩くだけで瞬時に認証されるため、作業中断のストレスがありません」
また以前は、PCと複合機でICカードを共用していたため、印刷のたびにカードを抜くとPCがロックされ、再認証する手間が課題でした。しかし、顔認証への移行でこの問題も解消されています。
毎日何度も繰り返すログインやロック解除だからこそ、その小さな時間短縮の積み重ねが、金庫全体の業務効率向上につながっています。
スマホ活用や安全なファイル共有も。ソリトン製品群でICT環境を底上げ
同金庫ではSmartOn IDに加え、「NetAttest EPS」と「FileZen S」を活用しています。

事務部 主任の穂坂 佑希氏はこう話します。
「NetAttest EPS とそのオプションである『NetAttest EPS-ap』を活用し、会社支給スマートフォンへのデジタル証明書の配布・管理を行っています。現場からは、社内ポータルやスケジュールを手軽に確認できるようになり便利になったという声が上がっています。また、分離ネットワーク間での安全なデータ移動にFileZen Sを運用しています」
これにより、PCログオン認証、ネットワーク・端末の証明書管理、分離環境でのファイル受け渡しという3領域をソリトン製品群でカバーし、運用性に配慮したICT環境を整えています。
次なる目標はゼロトラスト。強固な認証基盤を土台にDXを加速
今回、約20年間運用してきた手のひら静脈認証から顔認証へ移行し、多要素認証の運用を維持したまま利便性を高めました。今後はゼロトラスト型セキュリティへの発展も視野に、「SolitonOneGate」や「Soliton SecureBrowser」の利用を検討しています。
同金庫では今回の刷新を、将来のICT基盤を支える第一歩と位置付けています。
最後に岡庭氏は、今後の展望をこう語りました。
「今後、インフラの脆弱性への対応、運用面での充実などの取り組みが必要だと思っています。また生成AIをはじめとする先端技術が登場する中で、活用できるものは取り入れ、さらなる業務改革を進めていくことも必要です。今後の機能拡張や連携ソリューションについて、ソリトンシステムズからの提案やこれまでと変わらぬ手厚いサポートを期待しています」
お忙しい中、有り難うございました。
※本ページの内容は、2026年6月の情報に基づいています。