導入事例
多摩信用金庫
端末のリプレイスを機にSmartOn IDの顔認証を導入
利便性とセキュリティを両立した柔軟な課題解決活動を実現

- 2in1 端末へのリプレイスにより、社外での柔軟な課題解決活動が可能に
- SmartOn IDによる顔認証を導入、セキュリティを担保しつつPCログオン時の利便性を向上
- ユーザー情報の一元管理を実現。システム部門の負荷が軽減され、運用効率も向上

多摩信用金庫様 イメージ図

リプレイスを機に、利便性と安全性が高い顔認証を検討
多摩信用金庫は、東京都立川市に本店を置く信用金庫。お客さまの幸せづくりを理念とし、企業や事業者などの法人および個人に対し、幅広い金融サービスを提供している。
同庫では2023年、営業係が使用していたタブレット端末のリプレイスを契機に、顔認証導入の検討が始まった。システム統括部 調査役の倉島夏之介氏は、その経緯を次のように語る。

「これまでお客さまサービス担当は、お客さま先ではタブレット端末、金庫内では構内専用端末を使い業務をしていました。そのような中、タブレット端末の更新時期を迎え、2in1タイプのPC端末へのリプレイスを決定しました。目的としては、お客さま先での課題解決活動をより柔軟に行うためです。今回のリプレイスを機に、お客さまサービス担当と支店長、副支店長などが使う約700台の端末が、外出先ではタッチ操作のタブレット、金庫内に戻ればノートPCとして共用できる端末1台に集約されました」
同端末に顔認証を求めた理由を、システム統括部長の中嶋宗睦氏は以下のように説明する。
「お客さま先での業務の際は、端末ログオン時のパスワードの入力に手間がかかり、速やかな対応の妨げとなります。それをより簡便に行うことができ、かつセキュリティも重視すると、顔認証に行き着きました。生体認証としては指紋認証もありますが、初期登録など、運用面での対応を考慮した結果です。顔認証は、カメラさえあれば端末を問わずに利用ができ、追加デバイスが不要なことも、決め手の一つです」

費用対効果と導入実績、拡張性を評価し、SmartOn IDを選定
SmartOn IDとは、ソリトンシステムズが提供するPCログオンシステムだ。高精度な顔認証エンジンを搭載し、なりすましを防止。PCログオンや各種システムへのログオンにおいてパスワードレス認証を実現することで、利用者の利便性を高めると同時に、多要素認証による強固なセキュリティを提供している。
SmartOn ID選定の理由を、両氏は次のように話す。
「今回は導入台数も多く、長期にわたって利用することを前提としていたため、SmartOn IDの価格面での優位性は大きかったです。また、他の信用金庫での導入実績もあり、同業種で問題なく運用できていることも、重要な判断材料となりました」(中嶋氏)
「ソリトン製品はSoliton OneGate、NetAttest EPS、NetAttest D3、FileZenなどを以前から利用しており、信頼性が高かったことも後押しになりました。選定時には他社のサービスも比較検討しましたが、SmartOn IDはWindows Serverに対応していることも優位点でした。顔認証は、今は渉外支援用端末のみの導入ですが、将来的には金庫内のネットワーク端末へ対象を広げることも可能です。そのような拡張性も踏まえ、SmartOn IDを選定しました」(倉島氏)
ベンダー支援によりスムーズに構築、約70拠点への展開を完了
こうして2024年5月、SmartOn IDの採用が決定。端末のリプレイスは同年12月より開始され、2025年2月の完了と同時に、約70拠点、700台の新端末で、SmartOn IDによる顔認証の利用が開始された。
システムの構築は、同庫の提携ベンダーにより実施された。倉島氏は、構築プロセスについてこう振り返る。
「新端末の展開は、完了まで約3カ月かかりました。その中でもSmartOn IDの構築はトラブルもなく予定通りに進みました」
倉島氏はその間のソリトンからの技術支援を、次のように評価する。
「ベンダーの方経由ではありましたが、ユーザー登録方法など、仕様回りについてはソリトンのサポートに技術支援をお願いしました。迅速に対応して頂けたと感じています」
柔軟な課題解決活動とセキュリティ強化を実現、管理側の運用負荷も大幅軽減
ユーザーはSmartOn IDによる顔認証で端末へログオンすることで、接客用の業務システムをすぐに利用できる。社内ネットワークへのアクセスは、従来通りのID・パスワード認証を行うことで、セキュリティを確保している。
中嶋氏は利用者側のメリットとして、利便性とセキュリティの両立、課題解決活動の柔軟性向上を挙げる。
「顔認証にすることで、端末利用のたびにパスワードを入力する手間がなくなり、利便性向上とセキュリティ強化を両立できました。情報漏えいに配慮しつつ、PCを外出先でもセキュアに利用できるようになった効果はとても大きいです。新端末の導入によりお客さまとの柔軟なやり取りが可能となり、現場からも好評です」
倉島氏は、本部側のメリットとして、運用負荷の大幅な軽減を挙げる。
「SmartOn IDの顔認証は精度が高く、認証が上手くいかないといったトラブルはほぼありません。眼鏡やマスクを着用していても認証ができます。何より、パスワードの初期化や問い合わせ対応が不要となり、端末の引き継ぎもスムーズで、運用がとても楽になりました。これまで使用していた渉外支援用端末は、パスワードが端末ごとにローカルで設定されており、かつ個人所有ではなかったため、異動の際はパスワードを初期化して端末を引き継ぐという運用でした。しかし、初期化がされていないケースがあり、端末の引継ぎ時にパスワードが分からない、端末にログオンできないとの問い合わせがありました。その対応にシステム部門が追われ、管理負荷が高かったのですが、今回の仕組みによってこうした対応が不要となり、負荷が大きく軽減されました」
ユーザー登録もスムーズに行えると倉島氏は語る。
「初期登録時には、本部側で社員証の画像を利用し、一括でユーザー登録をした上で端末を配付したので、職員はすぐに利用を開始できました。その後、人事異動に伴い新たにお客さまサービス担当になる人については、マニュアルを展開し、各自で登録してもらいました。その際も特に問い合わせもなく、スムーズに利用開始できました」
同庫では、人事異動に伴うユーザーの追加や削除についても、効率的な運用体制を構築しているという。
「人事異動に伴うユーザーの追加や削除は都度発生します。金庫内にプログラム開発をしている担当者がいるため、人事データから自動的にユーザー情報を更新するプログラムを開発し、運用管理の手間がかからない体制を構築しています。人事異動が発令されると更新用データが生成され、夜間処理で自動更新される仕組みです」(倉島氏)
今後もセキュリティ強化と利便性向上の両立を目指す
今後の展望について、倉島氏は次のように述べる。
「まだ具体的な検討ではありませんが、SmartOn IDの拡張性を活かし、将来的には金庫内の業務用端末等にも顔認証を展開してセキュリティを強化したいと考えています」
最後に中嶋氏は、セキュリティと利便性の両立に向けたソリトンへの期待を、次のように結んだ。
「システム統括部は、2025年4月の組織改編で新たに誕生した組織です。金融環境とICTの目まぐるしい変化に対応し、金庫全体のシステムを統括しながらスピーディーに施策を実行していくことが、当部門の役割です。クラウドシフトなど単年では実現が難しい変革についても、中長期的な動向も踏まえ、様々な検討を行っています。中でもセキュリティは、金融機関の根幹とも言える最重要の取り組みです。一方で、どうしても利用者の利便性を損ねてしまうケースもあるため、利便性とセキュリティ、費用対効果も含めて、最適なやり方を求めています。今後もソリトンシステムズには、ベンダーとの協業体制をさらに強化して頂き、金融機関に求められる高度なセキュリティ対策に最適なソリューションとサポートの提供を期待しています」
お忙しい中、有り難うございました。
※本ページの内容は、2025年8月作成時の情報に基づいています。