導入事例
社会医療法人有隣会 東大阪病院
病院移転を機に、セキュアで効率的な
インターネット閲覧環境を実現

- 自席の端末からブラウジング可能な環境を整備、業務効率向上
- 端末台数を増やさず低コストでインターネット閲覧環境を実現
- ファイルの無害化と共有の自動化により、セキュリティと業務効率が大幅に向上

社会医療法人有隣会 東大阪病院 様 イメージ図

限られた端末でのインターネット利用が業務のボトルネックに
社会医療法人有隣会 東大阪病院は、救急医療をはじめ、急性期から在宅まで継続した医療・看護・介護・リハビリを幅広く提供している。同院は災害に強く、救急医療・回復期医療・がん医療などの機能を充実させ、総合的な医療を担うことができるようにすることを目的として、2023年10月に新築移転することを決定。移転前の旧病院における業務課題を、病院システム部 システム推進課 課長の山下 航氏は、次のように振り返る。

「病院内で使えるインターネット接続端末の台数が少ないことに、職員はストレスを感じていました。調べ物などでインターネットを利用する際は席を移動しなければならず、タイミングによっては別の職員が端末を利用していて使えないことも多い。しかたなく個人所有のスマート フォンで調べ物をせざるを得ないなど、業務効率の妨げとなっているだけでなく、セキュリティの面からも改善が求められていました」
こうした課題を解決する手段として、VDI(仮想デスクトップ)やファイアウォール分離なども検討されたが、構築および運用の煩雑さ、なによりコスト面で導入は難しかった。そこで山下氏は、自前でのシステム開発まで試みたと語る。
「検証用PCにLinux環境を構築し、HIS(Hospital Information System)網からSSH (Secure Shell)でDockerホストに接続、X11 Forwardingで画面転送する仕組みを試作しました。しかし、セキュリティ面の懸念が残り、実用化は見送りました」
低コスト×高セキュリティがSoliton SecureBrowser選定の決め手に
山下氏は新病院への移転に向けた協議の中で、ネットワーク構築ベンダーにこの点を相談。そこで紹介されたのが、ソリトンの提供する「Soliton SecureBrowser」(以下、SecureBrowser)であった。その際の印象を、山下氏は次のように語る。
「SecureBrowserはセキュリティがしっかりと担保されていて、導入および利用コストもリーズナブル。上層部に理解を得るには実利と安全性の説明が求められますが、その点においてSecureBrowserは、当院のニーズにとてもマッチしたソリューションだと感じました」
SecureBrowserは、閉域ネットワークとインターネットを安全に分離する専用ブラウザ型ソリューション。専用のゲートウェイである「Soliton SecureGateway」を設置するだけで、安全なインターネット利用環境を短期間で構築できる。導入負荷も小さく、セキュリティ要件とコスト抑制に厳しい医療機関にも最適な仕組みだ。
選定に際しては、セキュリティ性能と費用対効果に加え、ソリトンの支援体制も高く評価された。山下氏は、デモ機の試用段階で多くの現場部門から好意的な反応が得られたと明かす。
「導入検討にあたり、デモ機をすぐに提供してくれたのはありがたかったです。職員が実際に利用して作業効率が段違いによくなることが実感でき、導入への気運が一気に高まりました。アンケートでも、多くの部署から『すぐにでも使いたい』との声が、数多く寄せられました」
移転を待たず旧病院で先行運用を開始。院内への展開も工夫を凝らす
こうして2022年6月、SecureBrowserの導入が決定。当初は2023年10月の移転時からの導入を想定していたが、現場からの強い要望により、2023年1月から旧病院での先行運用が開始された。
「デモ機を返却する際、各現場から『次はいつから利用できるのか』『1日でも早く使いたい』との要望が相次ぎ、ネットワーク構築ベンダーに協力いただいて、予定よりも前倒しでの導入となりました」(山下氏)
院内への展開についての工夫を、山下氏は次のように話す。
「250台に上る各端末への証明書の適用は、バッチファイルを開発して省力化を図りました。電子カルテ端末へのアプリインストールは端末管理システムを利用してリモートで実施しましたが、作業できる日時調整が大変でした。そのため、頻繁に利用する端末の設定を優先して行い、その他の端末は移転時の作業とするなど、段階的に行いました」
SecureBrowserとHiQZenサービスにより業務効率と情報活用力が飛躍的に向上
新病院移転後、SecureBrowserは看護、リハビリテーション、薬剤、地域連携など病院の各部門に加えて、本部の事務職員にも広く活用されている。病院システム部 システム推進課 リーダーの奥本 巧氏は、各部門での業務効率と情報活用が飛躍的に向上したと、その効果を語る。

「看護部や薬剤部では学会情報や診療ガイドラインの参照、地域連携部では退院支援のための医療機関情報の検索、リハビリ部門では論文検索など、SecureBrowserの用途は多岐にわたります。これまでのようにインターネット接続端末への移動や空き状況を気にする必要もなくなり、自席の電子カルテ端末からインターネットがセキュアに閲覧できることで、業務効率が大きく向上しました。さらに、インターネットへの接続が容易になったことでChatGPTやGeminiなどの生成AIも利用しやすくなり、調査や各種書類作成の工数も、大幅に削減できるようになりました」
さらに同院では今回、SecureBrowserと併せてソリトンの「HiQZenサービス」(以下、HiQZen)も導入。HiQZenは、インターネットから取得したファイルを院内ネットワークへ安全に取り込むために利用している。その効果を、奥本氏は、次のように語る。
「従来、インターネットから取得したファイルを院内ネットワークに持ち込む際は、USBメモリを介してシステム課で無害化しており、ユーザーと管理者双方の業務負荷は、非常に高いものがありました。SecureBrowserとHiQZen、サニタイザー(無害化システム)を連携させたことでUSBメモリや人手を介さず安全に外部ファイルを取り込めるようになり、作業工数も大幅に削減できました。セキュリティを保ちながら、業務効率を高められる理想的な仕組みだと思います」
今後、スマホ活用や院外での電子カルテ利用など、働き方と医療サービスのさらなる進化を目指す
山下氏は今後について、PHSのスマートフォン化や電子カルテシステムの更新に合わせた、さらなるセキュリティと利便性の向上を見据えていると語る。
「まだ検討段階ではありますが、将来、PHSをスマートフォンにリプレイスする際、SecureBrowserを活用することで場所を選ばずスマートフォンからセキュアにインターネットを閲覧できる環境を提供でき、さらに院内の情報共有がスムーズになることを期待しています。また、当院は次年度に電子カルテシステムの刷新を予定しており『Soliton SecureWorkspace』の活用にも興味があります。このソリューションは、院内のインターネット端末自体を削減することや、訪問診療など院外業務において電子カルテの閲覧、作成などが行えるようになるのではないかと期待しています。医療機関はさまざまなガイドラインとの兼ね合いもあり、情報の取り扱いには慎重さが求められますが、医療従事者の働き方改革は、患者様へのより良い医療サービスの提供にもつながります。前向きに検討したいと考えています」
最後に山下氏は、ソリトンへの期待を次のように締めくくった。
「SecureBrowserは、当院のような中小規模の医療機関でも無理なく導入でき、効果が実感しやすいと共に、既に保有しているIT資産の潜在能力を最大活用できる、優れたソリューションです。ソリトンにはこれからも、自治体などで培った運用実績の高いシステムを中小医療機関にも導入しやすいソリューションとして提供してくれること、そして定期的に業界の最新トレンドなどの情報を展開していただけることに期待しています」
お忙しい中、有り難うございました。
※本ページの内容は、2025年7月作成時の情報に基づいています。