導入事例

地方独立行政法人 東京都立病院機構

外部からのセキュアな院内アクセスを実現
働き方改革とDX推進を加速

地方独立行政法人 東京都立病院機構
  • 外部端末利用で端末台数にとらわれない院内情報へのアクセスを実現
  • 場所を問わないグループウェアのアクセス環境により、利便性が向上
  • セキュリティを確保しながら職員の働き方改革とDX推進を加速

地方独立行政法人 東京都立病院機構 様 イメージ図

多様な勤務形態がもたらす情報共有と、情報へのアクセスのしづらさが課題に

 地方独立行政法人東京都立病院機構は、2022年7月1日に、高度・専門的医療を担ってきた都立病院(8病院)と地域医療を強みとしてきた公社病院(6病院・旧東京都がん検診センター)を一体として地方独立行政法人化(独法化)し、設立。その取り組みについて、法人本部 事業推進部 DX推進センター DX推進センター長の吉満 貴史氏は、次のように説明する。

「当機構は、14の都立病院が、それぞれの機能を生かしつつ、一つのメディカルグループとして運営することで、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現に貢献していくことを目指し、令和4年7月に設立されました。設立から2年が経過し、医療DXの流れも踏まえつつ、様々な取り組みを進める中、旧都立病院と旧公社病院の相乗効果をさらに発揮していける土壌が整いつつあると感じています」

 今回、ソリトンが提供するSoliton SecureBrowser(以下、SecureBrowser)を導入するに至った経緯を、法人本部 事業推進部 DX推進センター 医療情報推進 担当リーダー(課長代理)の大野 健太郎氏は、次のように話す。

「病院においては、情報共有が特に大きな課題です。病院には常勤だけでなく月に数回だけ勤務する職員や当直の医師など多種多様な勤務形態があり、円滑な情報共有が難しい環境です。そのため独法化にあたり、まずは各々が利用していたグループウェアを1つに統合し、勤怠管理や人事給与、eラーニングなどのシステムと連携した共通情報基盤として活用することとしたのですが、情報へのアクセスが課題として顕在化していました」

 病院における情報アクセスについての課題を、法人本部 事業推進部 DX推進センター セキュリティ・基盤担当主任の水野 嘉仁氏は、こう説明する。

「従来の環境は、グループウェアや勤怠管理、出張申請といった事務系システムを利用したい場合でも、病院内にある端末からのアクセスに限られていました。特に看護師は、病棟のスタッフステーションにある数台の端末を共有して使っており、他の職員が使っているとアクセスできません。その為、端末が利用できるまで待つこともあり、病院内にいても事務系システムにアクセスしづらい環境でした。また、院外からのアクセスについても、スマホからグループウェアにアクセスできる仕組みが提供されてはいましたが、管理職限定で一部だけの利用に留まっていました。そのためグループウェアの活用自体が思うように広がらず、全職員が利用できる機構共有のコミュニケーション基盤とまでは言い難い状況でした」

※ 法律に基づき、東京都が100%出資して設立される法人

BYOD端末の活用による、場所に捉われない情報へのアクセス方法を模索

 同機構ではこうした状況を改善し、セキュリティを確保しつつ、職員が場所を選ばずに個人のスマホなどから情報にアクセスできるようにするための対応策を検討。そこで浮上したのが、SecureBrowserだった。

 SecureBrowserは、VPN機能内蔵のWebアクセスに特化したリモートアクセス製品だ。アプライアンス機器であるSoliton SecureGateway(以下、SecureGateway)を介して、社内システムやクラウドサービスへの安全なリモートアクセスを実現する。端末にデータを残さない強固なセキュリティ機能により、情報漏洩を防ぎながら、快適なWebブラウジング環境を提供することができる。

 SecureBrowserの評価ポイントを、大野氏は次のように語る。

「SecureBrowserは、Webブラウジングだけができるというシンプルなつくりと、ローカルにデータを残さない仕組みや、きめ細かなパラメータ設定が可能な点が優れていました。また、専用ゲートウェイであるSecureGatewayを設置するだけで環境が構築でき、接続先や利用者数の増加に応じて柔軟に構成変更が可能な点が、多拠点で多くの職員が利用する当機構として大きな魅力でした。さらに、将来的にインターネット分離環境でのセキュアなインターネット閲覧にも活用できる点も、期待がありました」

証明書のセルフインストールにより、全病院への展開もスムーズ

 水野氏は、導入および展開もスムーズだったとして、そのポイントをこのように明かす。

「導入前のトライアルでは、わずか1日で本部にテスト環境を構築いただき、エンドユーザーの利用イメージやレスポンスなどを事前に確認できたことで、安心して導入を進めることができました。また、全職員の端末に電子証明書をセットアップする作業について、Soliton KeyManagerを活用した仕組みをご提案いただけた点も、非常に有効でした。証明書が自動で配布され、職員が受け取って自身でインストールできる形になっており、マニュアルに沿って進めればITに詳しくない職員でもセットアップすることが可能です。これにより、円滑な展開が実現できました」

SecureBrowserで職場環境の整備と共に、DX推進への大きな一歩を踏み出す

 こうして2025年1月より、利用が開始されたSecureBrowser。その導入効果を、3氏は次のように評価する。

「SecureBrowserの導入により、これまで職場に来なければできなかった勤怠管理や各種申請といった事務手続きが、外出先や自宅でも行えるようになりました。今は小さな変化かもしれませんが、今後の業務の在り方や職員の意識を変えていく契機となることを期待しています」(吉満氏)

「今回リモートアクセスの実現にあたり、BYODでの利用ということでSecureBrowserは『お役立ちツール』としてのお知らせに留め、各病院から利用したい人を募りました。現在、全職員約1万6,000人のうち、約3,000人が利用しています。場所を問わず情報にアクセスしやすくなったことで、病院によってはグループウェアをさらに積極的に活用したいとの声も挙がり、情報共有の質の向上に大きな可能性を感じています」(水野氏)

今後も、医療DX推進に向けたさまざまな取り組みを加速

 同機構では、SecureBrowserの導入を契機に、職員の働き方改革とDX推進を加速。今後は、グループウェアのさらなる活用促進に加え、電子カルテシステムの統一化や、医療系端末からのセキュアなインターネットアクセス環境の構築など、多岐にわたるデジタル化の取り組みを進めていく方針とのことだ。

「SecureBrowserの導入は、私たち職員の働き方改革を含め、機構全体の医療DXを加速させる第一歩だと捉えています。今後はグループウェアの利用活性化とともに、SecureBrowserの利用をさらに広げていきたいと考えています」(吉満氏)

 最後に吉満氏は、セキュリティと利便性の両立を図りながら医療現場の未来を支える基盤づくりにおけるソリトンへの期待を、次のように結んだ。

「今後、SecureBrowserを活用してインターネット分離環境下で電子カルテ端末からインターネットを安全に閲覧できるようにすることも検討しています。また、電子カルテの統一化を計画しており、さまざまな基盤をこれからの時代に合わせて整備していく予定です。医療機関として患者様の機微な情報を扱う中で、セキュリティを担保しつつDXやクラウド化を進めていくことは非常に重要です。ソリトンには、機構全体としての医療DX推進に貢献するソリューションの提供に期待しています」

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2025年7月作成時の情報に基づいています。

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