導入事例

宮崎市

限界だった物理分離からの脱却
生産性向上と自治体DX加速を実現

宮崎市
  • 自席から安全にインターネットへ接続でき、業務効率が大幅に改善
  • 移動や待機が不要となり、職員のストレスが軽減
  • 安全なクラウド基盤が整ったことで、全庁DXが本格加速

宮崎市様 イメージ図

DX推進を阻んだ旧ネットワーク構成

 近年、多くの自治体がDX推進に取り組む中、宮崎市でも2021年頃から、市民サービス向上と行政運営の効率化を目指し、全庁的なデジタル化を本格化させていました。その推進過程で大きな課題として浮上したのが、従来採用していたネットワークの「物理分離モデル」がもたらす業務上の限界でした。

 当時、宮崎市では国のセキュリティ方針に準じ、総合行政ネットワーク(LGWAN)接続系とインターネット接続系の端末を物理的に分ける、いわゆる「αモデル」で運用していました。この方式は強固なセキュリティを確保できる一方で、LGWAN接続系の端末から直接クラウドサービスにはアクセスできないため、クラウドの活用を困難にしていました。宮崎市 総務部 情報政策課 情報システム係 主任主事の中平 翔太氏は、「少し調べ物をしたい、Web会議に参加したいと思うたびに、限られた台数の共用端末へ移動しなければなりませんでした。こうした日々の小さな業務の分断が、大きなストレスと非効率を生んでいたのです」と当時の状況を話します。

Google活用で顕在化した非効率さ

 庁内外の連携に不可欠なGoogle Workspaceの活用が進むにつれ、物理分離がもたらす生産性の低下は、より深刻な問題となりました。同じく情報政策課 情報システム係 主任主事である野田 一聡氏も、「この状況は効率的な業務遂行を妨げる、まさしく生産性向上のボトルネックでした。宮崎市が目指す『どこでも業務できる』環境と本格的なDXへの移行には、セキュリティを担保しながら利便性をもたらす新たな仕組みが喫緊の課題でした」と、強い危機感を抱いていました。

 この課題意識から、宮崎市はインターネット接続環境の抜本的な見直しに着手し、安全性と利便性を両立するソリューションとして、ソリトンが提供する端末にデータを残さず安全なインターネットアクセスを実現する「Soliton SecureBrowser(以下、 SecureBrowser)」の採用を決定しました。 製品選定では複数のソリューションが比較検討されましたが、SecureBrowserが選ばれた決め手は、コストパフォーマンスに加え、「サーバレス」で導入できる運用面の手軽さ、そして市のクラウド戦略との適合性でした。

トライアルで確かな手応え、短期間での全庁導入

 宮崎市は約100名の役職者を対象にトライアルを実施し、実際の業務環境での操作感や利便性を慎重に検証しました。野田氏は「まずは職員に実際に使ってもらい、リアルな声を聞くことが目的でした。トライアルは非常に好評で、『これなら業務が楽になる』という確かな手応えを感じ、本格的な製品比較に進むことができました」と振り返ります。

 他社製品には専用サーバの構築が必要なものもあり、導入後の維持管理が懸念されましたが、SecureBrowserは専用アプライアンスを導入すればすぐに利用開始できる点が、運用負荷を軽減したい宮崎市の方針と合致しました。中平氏は「運用にかかる手間とコストを大幅に削減できる点が、我々の目指す方向性と一致していました。端末にデータを残さない構成も、セキュリティ要件を満たす上で重要なポイントでした」と、選定理由を語ります。

 導入は2022年5月から段階的に始まり、同年9月にはLGWAN系接続端末約2,000台以上への展開を完了。導入は、資産管理ツールを活用しリモートによるSecureBrowserインストールに、証明書の自動配布も組み合わせて行われました。現場での手作業を最小限に抑えることができたおかげで、大きな混乱もなく計画通りに終了できました。

SecureBrowserの導入により、業務が劇的に改善

 SecureBrowserの導入後、長年の課題であった物理分離による非効率な業務は劇的に改善されました。この変化について中平氏は「最も大きな変化は、自席からインターネットを利用できるようになったことです。これまで調べものやWeb会議のたびに発生していた移動と待ち時間がなくなったことで、職員の業務効率向上と心理的な負担軽減の両面で、本当に大きな効果をもたらしました」と高く評価します。

 これを受け野田氏は、「職員からも『共用端末の順番待ちがなくなり、自分のペースで仕事に集中できるようになった』という声が直接届いています。導入前に期待していた通りの成果が得られ、非常に好評です」と、全庁的な好反応を語ります。

ゼロトラストへ向けた次の一歩

 現在、宮崎市は「宮崎市DX推進方針」のもと、ペーパーレス化や働き方改革、災害時の事業継続計画の強化(BCP)といった狙いから、Google WorkspaceとChromebookの利活用をさらに加速させています。全庁的にクラウドシフトが進む中で、宮崎市がSecureBrowserへ寄せる期待は、新たなステージへと移っています。次のステップとして、インターネット接続系端末であるChromebookから、LGWAN内にある特定の業務システムへセキュアにアクセスするための検証を進行中です。

 「これまではLGWAN側からインターネットへの『出口』対策としてSecureBrowserを活用していましたが、今後はインターネット側からLGWAN内への『入口』としての活用を目指します。これが実現すれば、職員はChromebook 1台で業務の多くをカバーできるようになり、当市が目指す『どこでも業務できる』環境が大きく前進します」と野田氏は期待を寄せます 。この取り組みは、端末や場所を問わず厳格な認証を行う「ゼロトラストセキュリティ」の実現においても、不可欠な要素だと位置づけられています。

災害時における対応強化も視野に

 中平氏は「災害時の事業継続計画の強化にも直結するこの取り組みを、着実に推進していきたい。ソリトンには、今後も私たちのDXを支える使いやすいソリューションを提供してくれることを期待しています」と締めくくりました。

 宮崎市は、SecureBrowserによる職員の働き方改革を、市民サービスを向上させるための重要なインフラと捉え、今後も先進的なデジタル技術の活用を推進していきます。

お忙しい中、有り難うございました。

※本ページの内容は、2025年9月作成時の情報に基づいています。

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